2018年12月09日

The Great Jazz Trio / At The Village Vanguard Vol.2

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Vol.1とVol.2のジャケットはベースボール。ジャズのアルバムとしては異例。Vol.1はトニー・ウィリアムスがマウンドに立って直球勝負。Vol.2はロン・カーターが抑えのリリーフ。そんな感じだ。ウッドベースのフレットを自在に操りフォークボールの妙技。そして、ハンク・ジョーンズはどんな球が来ても正確にキャッチして、相手のピッチャーに投げ返す。

極めつけはマイルス作のNardis。ビル・エバンスがこの曲の録音をいくつか残した。ハンク・ジョーンズがエバンスと対抗する意識はなかったと思うが、やはり聴き比べてみたい。ラファロは当然ながら弦楽器としてベースを操るのに対し、カーターはあたかも打楽器としてベースをかき鳴らす。このアプローチの違い。どちらもストライクなのだが。余談ながら、このアルバムは多くの日本人によって作られている。
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「徒然ディラン No.204」 Forever Young

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ディランの一番好きな曲は?と問われれば、このForever Youngと答える。2010年8月、結婚式の主賓として招待された。挨拶は簡単にして、二人を祝福する意味で詩人アーサー・ビナードがこの曲を訳した「はじまりの日」を詠んだ。主賓というのは初めてであったし、人の前で詩を詠んだのも初めてであった。ディランはこう言っている。「ぼくはひとりアリゾナ州に行って、そこで息子のことを思いながら『フォーエバー・ヤング』という歌をつくった。べつに作詞作曲をやろうと意気込んだわけじゃなく、自然にうかんできて、そのままできあがった。なるべく感傷的にならないように、ちょっと努力しただけだ」。そして、「はじまりの日」。

きみが 手をのばせば しあわせに とどきますように
きみのゆめが いつか ほんとうに なりますように
まわりの 人々と たすけあって いけますように
・・・

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「徒然ディラン No.203」 Yazoo Street Scandal

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ロビー・ロバートソンの作詞作曲。アルバムBasement Tapesでは、ディランは参加していない。タイトルだけでなく詩の中身も意味不明。ロバートソンがディラン流の詩に挑戦しようとしたのかも知れない。自分とエライザという女性とのやりとりが進むが、会話になっていない。やがては酔っ払いのウィリアムが登場。だが、スキャンダルは起きない。ビートは揺れ動くが、時間の感覚が止まったような曲。

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「徒然ディラン No.202」 Katie's Been Gone

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リチャード・マニュエル作詞、ロビー・ロバートソン作曲。アルバムBasement Tapesに収録されているものの、ディランは参加していないので、完全にザ・バンドの曲である。

春からいなくなってしまったケイティ。どのくらい君を待たなければいけないんだ。手紙だけでもほしいんだ。だけど、もう新しい誰かがいるんだろうな、と締め括る。ふられた男の情けない物語。

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2018年12月08日

Weather Report / I Sing The Body Electric

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司会いソノてルヲの「約10分ほど休憩いたします」で終わるアルバム。1971年11月から72年1月までのスタジオ録音をLPのA面に、そして72年1月13日の渋谷公会堂でのライブ演奏(ただし、編集して圧縮)をB面に配置した。アメリカでは3月26日にリリース。つまり、スタジオだけでなくライブでも最高のパフォーマンスを演じるグループであることをレコード会社は早く示したかったのだ。そのために、司会者の声を入れて臨場感を出したということ。どうせアメリカ人に日本語は通じないと思ったのだろう。

ところが、日本では1月13日のライブアルバムLive In Tokyoが無編集の形で、I Sing The Body Electricより先に発売。やがて、Live In Tokyoはアメリカでもリリース。結局のところ、I Sing ... は前半4曲しか価値がないことになってしまったのである。いソノの10分休憩発言を除いて。

1. Unknown Soldier
2. The Moors
3. Crystal
4. Second Sunday In August
5. Medley: Vertical Invader / T.H. / Dr. Honoris Causa
6. Surucucu
7. Directions

Wayne Shorter - saxophones
Josef Zawinul - electric and acoustic piano, synthesizer
Miroslav Vitous - bass
Eric Gravatt - drums
Dom Um Romao - percussion

Tracks 1 & 2
- Track 1 plus ... Hubert Laws - flute / Andrew White - english horn / Wilmer Wise - D and piccolo trumpet / Yolande Bavan, Joshie Armstrong, Chapman Roberts - voice
- Track 2 plus ... Ralph Towner - 12 string guitar
Recorded on November 1971.

Tracks 3 & 4
Recorded on January 1972.

Tracks 5, 6 & 7
Recorded on January 13, 1972 (edited on Album "Live In Tokyo").

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The Great Jazz Trio / At The Village Vanguard Vol.1

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1977年2月のライブ演奏。同年5月にリリース。ジャズ研での練習とアルバイトに明け暮れ、ようやく自分のウッドベースを手に入れた頃である。LPでA面1曲目のMoose The Moocheを聴いた時、それまでに体験したことのないピアノトリオのスピード感に圧倒された。チャーリー・パーカーの曲。ピアノトリオでのアルバムは、バド・パウエルのAt The Golden Circle Vol.2 & Vol.4、バリー・ハリスのAt The Workshopを所有。

計4曲を聴き比べてみたが、トニー・ウィリアムスのドラムが群を抜いていることを改めて感じた。リズムを刻むのではなく、押し込んでいく。ハンク・ジョーンズとロン・カーターは必然的に前のめりになり、トリオとしてのスピード感が増していく。

1. Moose The Mooche
2. Naima
3. Favors
4. 12+12

Hank Jones - piano
Ron Carter - bass
Tony Williams - drums

Recorded on February 19 & 20, 1977 at The Village Vanguard NYC.

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「徒然ディラン No.201」 Winterlude

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「徒然ディラン No.201」 Winterlude

Winterludeという言葉は、ディランによるWinterとInterlude(間奏曲)の造語と思っていた。だが、ジャズ・ベーシストのゲイリー・ピーコックがアルバムDecember Poems(1977年12月録音)に同名の自作の曲を収めている。アルバムNew Morningのリリースは70年10月。ピーコックがディランに触発されて…とは到底思えない。

小さなリンゴ、スケートリンク、粉雪など冬のキーワードを使った3拍子の曲。まさしくディラン流ウインターワルツである。

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2018年12月07日

「徒然ディラン No.200」 Little Drummer Boy

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ディランがクリスマスのアルバムChristmas In The Heartを出さなければ、このLittle Drummer BoyをWikipediaで調べることはなかっただろう。誕生したイエスを祝福したいけど貢ぎ物を買えない少年が、自分のドラム演奏を捧げるという内容。

ディランは抑揚を全くつけずフラットに歌って終わりにしている。このアルバムは、印税すべてを国連の食糧支援機関などに永久に寄付するコンセプトだが、クリスマスソングを歌う熱意がディランにどれだけあったのだろうか。

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2018年12月05日

「徒然ディラン No.199」 Gospel Plow

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鋤(すき)を手に持ち耕せ。聖書に関係したトラディショナル・ソング。歌の一節Keep your hand on that plow, hold onから「Hold On」というタイトルとしても知られているようだ。だが、労働歌、つまり日本で言えば「えんやこら」的な歌ではない。

ディランはギターをかき鳴らし、過酷な労働に歯向かうイメージを浮き彫りにしたかったのだろう。しかしながら、デビューアルバムだけに、ディラン自身がトラディショナルを自分のものとして十分に消化し切れていない。この時点では、まだまだ耕し方が甘いディラン。

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2018年12月04日

「徒然ディラン No.198」 Jokerman

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極めて解釈が難しい曲。言語の壁だけでなく、宗教的な大きな壁が存在する。そもそもJokermanとは何者なのか。ブログ「アリスの英文学日記*1」で鋭い分析をしていることを発見。このブログによると、Jokermanとは道化師であって、複数の宗教の間で揺れたディラン自身を示していると述べている。一方、いろいろと調べていたら、1991年のディランのインタビュー記事*2にたどり着いた。

インタビュアーが様々な曲を取り上げていて、その中でJokermanについても尋ねている。ディランは、自分からは過ぎ去ってしまった曲であり、アルバムInfidelsの多くの曲も同じだと答えている。しかしながら、ディランの公式サイトのデータでは2003年11月までにJokermanを157回演奏。つまり、インタビューでは過ぎ去った曲と位置付けながら、12年間は手放すことができなかった訳である。壁を乗り越えることが容易でない曲ではあるものの、「オーオーオー、ジョーカーマン」と歌うディランには、ある種の潔さを感じるのだが。

*1 https://ameblo.jp/sapphire-arisa/entry-12236097073.html
*2 https://www.interferenza.net/bcs/interw/1991zollo.htm

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2018年12月02日

「徒然ディラン No.197」 In The Pines

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1961年11月4日のライブ演奏。録音状態が悪く、ディランの歌を正確に聴き取れない。歌詞カードもなく、ディランが歌った内容はネット上に全くない。ただし、英文のライナーノーツにはこう紹介されている。

「原曲は、レッドベリーのWhere Did You Sleep Last Night?で、数々のバージョンが存在し、Black Girlというタイトルが最も多い。ディランは録音が残っている最初ライブ演奏で、陰惨な詩節を含んだパフォーマンスを演じた」。これは、鉄道員だった父親が殺され頭部だけしか見つからなかった、という一節を示している。ディランは原曲を忠実に守って歌った訳である。今から57年前の出来事。

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「徒然ディラン No.196」 Idiot Wind

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ディランはBlowin' In The Windで萌芽し、Like A Rolling Stoneによって歌の持つ力を示し、Idiot Windで苦悩する愛を描き一つの区切りをつけた。ディランが作り上げてきた多くの曲の中で、この3曲は特別な存在である。歌うことで生かされてきたディランがそこにある。「風に吹かれて」、「転がる石の如く」、「愚かな風」が時代を越えて、容赦なく降り注いでくる。

Idiot Windは愚かなる風が吹き(耐え難い噂話が流れ)、破局へ向かう二人を描く歌。You’re an idiot ー 君は愚か者さ、I can’t feel you anymore ー 君にはもう何も感じない、I can’t even touch the books you’ve read ー 君が読んだ本に触ることすらできない、と相手を突き放し。We’re idiots ー 僕らは愚か者なんだ、It’s a wonder we can even feed ourselves ー 僕らがまだ暮らしていけるなんて不思議じゃないか、と苦しみながら最後を締め括る。

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2018年12月01日

Sarah Vaughan / How long has this been qoing on

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所有するサラ・ボーンのアルバム10枚の中で最高傑作の一つ。オスカー・ピーターソンを中心にしたバックで、サラは自在に自分を表現。ではあるが、ジャケットは最低。パブロ・レーベルを創設したノーマン・グランツは、ライブ録音を主軸に置いたが、ジャケットには根本的に無関心。サラが、このモノクロのジャケットに素直にOKを出したとは到底思えない。

学生時代によく通ったジャズ喫茶は中野北口のビアズレー。南口には姉妹店のオーブレー。こちらはボーカルを中心にお酒を飲ませる店。ジャズ研の仲間(まぁ、当然ながら女性)を連れて飲みに行ったことがある。その時に流れていたサラの歌声が記憶の片隅に。いまや、ビアズレーもオーブレーもなく、中野のジャズ文化は消え去った。中野サンプラザも解体になるらしい。いつの頃からだろうか(How Long Has This Been Going On?)、「文化」という言葉を放り投げてしまった日本。

1. I've Got The World On A String
2. Midnight Sun
3. How Long Has This Been Going On?
4. You're Blase
5. Easy Living
6. More Than You Know
7. My Old Flame
8. Teach Me Tonight
9. Body And Soul
10. When Your Lover Has Gone

Sarah Vaughan - vocals
Joe Pass - guitar
Oscar Peterson - piano
Ray Brown - bass
Louie Bellson - drums

Recorded on April 25, 1978 at Group IV Recording Sutiods, Hollywood, CA.

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「徒然ディラン No.195」 Silent Weekend

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静かな週末を彼女と過ごす。だが、つきまとう彼女に少しずつ嫌気がさしてくる。やがては月曜日が早く来ればいいのにと思い始める。倒錯した感情をストレートに歌っているディラン。結局のところ、そんな歌にディラン自身も嫌気がさし、一度だけ録音して静かな週末は仕舞い込んでしまったようだ。

posted by F.Kubo at 20:10| Comment(0) | 日記

「徒然ディラン No.194」 I'll Be Home For Christmas

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ビング・クロスビーが第2次世界大戦中の1943年にリリース。戦場へ行った兵士たちの帰りを待つ家族に、この曲の想いが伝わったらしい。カバーしているミュージシャンは数知れず。アルバムChristmas In The Heartで、ディランもその一人として仲間入りした。

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「徒然ディラン No.193」 Seven Curses

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七つの呪い。種馬を盗んだライリーが捕まり、その娘が父親を助けるため自分自身が判事の代償となる。しかし、ライリーの体は砕かれ、判事には七つの呪いが・・・。トラディショナル・ソングかと思っていたが、ディランのオリジナル。釈然としない内容である。結果はどうであれ、盗んだ罪については一切触れていない。

歌の出だしはOld Reilly stole a stallion / But they caught him ...である。ここでのstoleは「盗んだ」ではなく、「こっそりと手に入れた」という意味かも知れない。罪は軽いが刑が重すぎる、ということなのだろうか。ちなみに、ジョン・バエズも歌っていてアルバムChimes Of Freedomに収められている。

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「徒然ディラン No.192」 Be Careful Of Stones That You Throw

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ハンク・ウィリアムズが、ルーク・ザ・ドリフター名義で歌い1952年にリリース。Youtubeで聴くことができる。タイトル通りの歌の内容で、「口は禍の元」的なとちょっと説教じみた感じの曲。ウィリアムズは語りを中心にして歌っていて、ディランはそれをそっくり真似ている。何の工夫もない。不用意に歌詞を変えたりすると禍が生じると思ったのだろうか。なお、ディランの公式サイトではBenjamin Lee Blankenshipの曲と表記されているが、Bonnie Doddが正解。

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Tommy Flanagan / Montreux '77

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モントルーのライブ演奏。圧巻はブルー・ボッサ。割れんばかりの拍手。正確なデータは分からないが、ステージの最終曲だったのだろう。ブルー・ボッサは、学生時代のジャズ研で何度も演奏した曲。いつかやりたいと思っていた聴き比べ。ケニー・ドーハムの作でありながら、彼はジョー・ヘンダーソンのアルバムPage Oneで一度トランペットを吹いただけ。自作ながら、トランペット向きでないと判断したのだろうか。アート・ファーマーはフィル・ウッズと共演したアルバムWhat Happens?でこの曲を吹いたが、ファーマーはウッズに助けられている感じ。

デクスター・ゴードンは、強力なバック(バリー・ハリス、サム・ジョーンズ、アル・フォスター)を従えて、アルバムBiting The Appleに収録。リズムとスピードは、ジャズ研で演奏していた頃にぴったり。そして、ミッシェル・カミロ。アルバムLive at the Blue Noteで、ピアノトリオの合間にソロピアノを軽く披露。ブルー・ボッサが入っている所有するアルバムは、録音年代順に以下の通り。

Joe Henderson - Page One / June 1963
Art Farmer - What Happens? / October 1968
Dexter Gordon - Biting The Apple / November 1976
Tommy Flanagan - Montreux '77 / July 1977
Michel Camilo - Live at the Blue Note / March 2003

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2018年11月29日

「徒然ディラン No.191」 A Fool Such As I

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1967年にディランは「地下室」でこの曲のセッションを行ない、さらに69年4月に女性バックコーラスを従えて録音。しかし、リリースは2014年11月と1973年11月と逆の順序になった。つまり、アルバムBasement Tapes Completeが出るまでは、プレスリーが昔ヒットさせた曲をディランは歌って何考えているんだと、少なくとも自分は思っていた。

だが、2つの録音を続けて聴くと歌い方が共通しているのが分かる。途中からメロディーを無視し歌詞を口ずさむ。そういう歌い方ができる曲として、ディランはこの曲を気に入っていたのだろう。反戦歌なんてもういい、ボブ・ディランというバカな男は好きな曲を歌うだけと聞こえてくる。

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2018年11月27日

「徒然ディラン No.190」 I Am A Lonesome Hobo

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俺は孤独な放浪者。意味ありげなタイトルなのだが、彷徨い出たのは、単に同胞を疑ってしまったからとしか語っていない。つまり、この曲は明確な描写を避けている感じだ。

アルバムJohn Wesley HardingのDrifter's Escapeでこう書いた。LPのA面最後Drifter's Escape(流れ者の逃げ道は…)とB面最初Dear Landlord(拝啓地主様)は、その流れの中にメッセージが隠れている気がすると。さらに、そのメッセージはB面2曲目のこのI Am A Lonesome Hoboへと続く。現実を逃避した流れ者は、一度は定着を試みるのだが、本来の生き方に逆らえず、やがて放浪の旅に出る。この一連の3曲は、まるで映画のシナリオのごとく完結する。

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2018年11月26日

「徒然ディラン No.189」 Abandoned Love

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アルバムDesireのために作られた曲であるが、結局のところ収録されなかった。未完成の曲だった訳でなく、LPの時代ということで時間的な制約があったからだろう。だが、ディランの公式サイトを見ると、この曲は一度もライブで演奏していない。

「見捨てられた愛」ないしは「放棄された愛」。ディランは、当時の自分をさらけ出した。曲の半ば過ぎのBut as long as I love you I'm not free(だが、君を愛している限り、僕は自由にはなれないんだ)は重く突き刺さる。そして、最後に一度だけabandonの単語が出てくる。Let me feel your love one more time before I abandon it(僕がこの愛を捨てる前に、もう一度君の愛を感じさせてくれ)。ディラン自身の心の葛藤を描いた曲である。それゆえに、人前では一度も歌わなかった。

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2018年11月25日

「徒然ディラン No.188」 900 Miles From My Home

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トラディショナル・ソングをディランがアレンジ。だが、原曲がどんな感じなのかをネット上で探すことが出来なかった。Basement Tapes Completeに収められた900 Miles From My Homeをカバーしたという動画さえある。

900マイルも家から離れて旅をしているけど、恋人のメアリーを悲しませないために時期が来れば戻るよ、という内容。ディランは自分の記憶を頼りに、そんなイメージを大事にして、フォークソングらしい曲として見事に完成させた。にもかかわらず、アルバムBasement Tapesに入れなかった理由はどこにあったのだろう。

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「徒然ディラン No.187」 Talkin' New York

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ディランのデビューアルバムBob Dylanには、ディランのオリジナルがTalkin' New YorkとSong to Woodyの2曲のみ。開花前のディランがここにはあって、この曲はニューヨークに飲み込まれながら、歌で身を立てていこうとする自分を描いている。

そんな中に、その前後と結びつかないThat some people rob you with a fountain penという一節が出てくる。万年筆で攻撃する連中がいるんだ、という意味だろう。この唐突な表現がどこから来たのか探した。答えは、ウディ・ガスリーの曲Pretty Boy Floydにあった。この一節から、ディランがいかにウディに傾倒していたかがわかる。

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Ella Fitzgerald / Ella & Louis

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エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの絶妙なコンビネーション。バックの4人も、それをしっかりと支えている。ジャズの名曲がずらり並ぶ。飾り気のないツーショットのジャケットも微笑ましい。

ボーナス・トラックが5曲追加されているが、別テイクを集めたものではない。おそらく、最初にリリースしたアルバムが好評だったため、同じメンバーで翌年に追加録音したのだろう。

1. Can't We Be Friends
2. Isn't This A Lovely Day?
3. Moonlight In Vermont
4. They Can't Take That Away From Me
5. Under A Blanket Of Blue
6. Tenderly
7. A Foggy Day
8. Stars Fell On Alabama
9. Cheek To Cheek
10. The Nearness Of You
11. April In Paris
12. Don't Be That Way
13. Autumn In New York
14. Let's Call The Whole Thing Off
15. Love Is Here To Stay
16. Stompin' At The Savoy

Ella Fitzgerald - vocals
Louis Armstrong - vocals, trumpet
Oscar Peterson - piano
Herb Ellis - guitar
Ray Brown - bass
Buddy Rich - drums

Tracks 1-11
Recorded on August 16, 1956 at Capitol Studios, Los Angeles.

Tracks 12-16
Recorded in July - August, 1957 in Hollywood.

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McCoy Tyner / Focal Point

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マッコイの最高傑作Fly With The Windから半年後の録音。プロデューサーは、どちらもオリン・キープニュースで同じスタジオでの録音。まさしくFly With The Windの追い風に乗って制作したアルバム。メンバーを一新し小編成にして新たな境地を示そうと臨んだのだろうが、わずか半年の間では構想が不十分。キープニュースに甘さがあったと言わざるを得ない。

1972年のSaharaから始まったマッコイの快進撃は、このFocal Pointで幕を閉じた。78年のライブアルバムThe Greetingで一度息を吹き返したと思ったが、それまで。キープニュースの手腕によって、マッコイはジャズピアニストのトップの位置に躍り出たが、キープニュースに頼り過ぎたマッコイにも甘さがあった。

1. Mes Trois Fils
2. Parody
3. Indo-Serenade
4. Mode For Dulcimer
5. Departure
6. Theme For Nana

Joe Ford - alto saxophone, soprano saxophone, flute
Gary Bartz - alto saxophone, soprano saxophone, clarinet
Ron Bridgewater - tenor saxophone, soprano saxophone
McCoy Tyner - piano, dulcimer (track 4)
Charles Fambrough - bass
Eric Gravatt - drums
Guilherme Franco - conga, tabla, percussion

Recorded on August 4, 5, 6 & 7, 1976 at Fantasy Studios, Berkeley, CA.

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2018年11月24日

「徒然ディラン No.186」 Three Angels

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ゆったりと流れる音楽をバックに、ディランは自分の詩を朗読。数多いディランの曲の中で、この形式は他に見当たらない。角笛を吹く三人の天使。街の様々な情景。野良猫、オレンジ色のドレスの女性、車輪のないトラック、・・・。だが、角笛の響きは誰にも届いていない。

ディランは、この詩で何を伝えようとしたのか。ディラン自身の著「ボブ・ディラン自伝」の中にそのヒントはなかった。

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2018年11月23日

「徒然ディラン No.185」 John Brown

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1962年10月にディランが作った反戦歌。戦場に向かう息子を誇らしく思う母親。勲章をもらったら壁に飾ろうと送り出す。息子から手紙が途絶えたのち、「戦場から戻って来る御子息の列車を出迎えに行くように」という手紙が届く。しかし、そこにいたのは片腕と両目を失い、ほとんど口もきけなくなった息子。彼が母親に渡したのは、いくつもの勲章。正式なアルバムには収録しなかった曲である。

しかし、それから30年以上経った1994年11月のスタジオ・ライブで、ディランはこの曲を完璧に歌い切った。その様子はDVDのMtv Unpluggedに残っている。同時期に作った「風に吹かれて」とはメッセージは同じでも対極に位置する曲。John Brownという架空の人物をタイトルにすることで、逆に具体性を持たせたと言える。

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「徒然ディラン No.184」 Jet Pilot

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アルバムThe Cutting Edgeのライナーノーツには、「世界で初めて性同一性障害者のことを扱った歌」と書いてある。ジェット・パイロットの目をしたあの娘は5フィート9インチ(175センチ)で、モンキー・レンチを持ち歩く。あの娘は実は男なんだ。それだけで終わる曲、というか途中でカットされた断片曲。性同一性障害者というイメージは浮かんでこないし、世界初の根拠も全く示していない。

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「徒然ディラン No.183」 Hark The Herald Angels Sing

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この「徒然ディラン」に着手しなければ、決して詳しく調べることはなかった曲。作詞はキリスト教メソジスト派の創始者ジョン・ウェズリーの弟チャールズ・ウェズリー。作曲はフェリックス・メンデルスゾーン。日本語のタイトルは「天(あめ)には栄え」、「聞けや歌声」だそうである。

ディランは一番の歌詞を2度繰り返して歌っている。2度目の前半は女性コーラスのみにして、単調にならない工夫をしている。致し方ないが、キリスト教でない自分には、ディランのしわがれた声しか心に残らない。

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「徒然ディラン No.182」 Meet Me In The Morning

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ディランの最高傑作アルバムは、Blood On The Tracksと自分は決めつけているが、そこに収録された全10曲の中では、残念ながら最もインパクトに欠ける曲。平凡なブルース進行で、別れた女性への想いを語る。それも深刻そうに。

ベーシストTony BrownだけとのセッションがアルバムMore Blood, More Tracksで明らかになり、この曲にはシンプルな構成でむしろ相応しい感じだ。いずれにしても、ディランの公式サイトによると、ライブでは1回しか歌っていない模様で、ディランも自ら不出来な曲と認めているようだ。

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